医療費が10万円を超えたら?医療費控除で戻る税金を計算例つきでFPが解説

家計管理

この記事の結論

医療費控除で戻る所得税は「医療費控除額 × その人の所得税率」が目安で、使った医療費がそのまま戻るわけではありません。控除額は「1年間の医療費-保険金などで補てんされた額-10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない額」で計算します(上限200万円)。医療費25万円・補てんなしなら控除額は15万円で、戻る所得税は税率10%で約15,000円、20%で約30,000円が目安です。住民税は約10%が翌年度の税額に反映されます。

最終更新日:2026年6月24日

この記事は2026年度時点の一般的な情報をまとめたものです。税制は法改正などで変わる可能性があり、控除額や還付額は個別の状況によって異なります。実際の申告・判断は、税務署・税理士などにご確認ください。

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はじめに

「1年でけっこう医療費がかかったけど、これって何か戻ってくるの?」——通院や入院が続いた年に、そう感じたことはありませんか。

そんなときに使えるのが医療費控除です。ただ、「10万円を超えたら使える」とは聞くものの、「結局いくら戻るのか」が分かりにくい、という声をよく聞きます。

この記事では、FP2級の運営者が「医療費控除でいくら戻るのか」を、所得税率別の早見表と計算例で具体的に整理しました。

この記事で確認できること

  • 医療費控除で「結局いくら戻る」のか(早見表つき)
  • 控除額と還付額の計算のしかた
  • 対象になる費用・ならない費用
  • 見落としやすい実務上の注意点
  • よくある疑問への回答

結論:所得税の還付目安は「控除額 × 所得税率」

先に結論をお伝えします。医療費控除で戻ってくる(還付される)所得税は、ざっくり次の式で決まります。

戻る所得税(目安)= 医療費控除額 × その人の所得税率

ポイントは、「使った医療費がそのまま戻る」のではなく、所得控除によって所得税の一部が還付されるという点です。このほか、住民税は原則として医療費控除額の約10%が翌年度の税額に反映されます。住民税は通常、現金で還付されるのではなく、翌年度の税負担が軽くなる仕組みです。

医療費控除額の計算

まず、控除額そのものを計算します。

医療費控除額 =(1年間に支払った医療費 − 保険金などで補てんされた額)−「10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない額」
※医療費控除額の上限は200万円です。

公式情報:国税庁「医療費を支払ったとき」

たとえば、年間の医療費が25万円、保険金などの補てんがなかった場合——

25万円 − 10万円 = 15万円(これが控除額)

この15万円に所得税率をかけた分が、戻ってくる目安になります。

「結局いくら戻る?」所得税率別の早見表

控除額が同じでも、適用される所得税率によって還付額は変わります。所得税率は年収そのものではなく、給与所得控除や所得控除を差し引いた課税所得をもとに決まります。

下の表は、控除額15万円(医療費25万円・補てんなしのケース)で、戻る所得税のおおよその目安です。

所得税率の目安 戻る所得税(目安)
5% 約7,500円
10% 約15,000円
20% 約30,000円
23% 約34,500円

※所得税率は課税所得や他の控除によって変わります。復興特別所得税などは含めていない概算です。住民税の軽減は通常、翌年度の税額に反映されます。

同じ「医療費25万円」でも、適用される所得税率によって還付額は異なります。

📌 あわせて読みたい:確定申告が必要なケース|FPが確認ポイントを解説

対象になる費用・ならない費用

「何が医療費控除に入るのか」も迷いやすいところです。

一般的に対象になるとされるもの:

  • 病院・歯科の診療費、治療費、入院費
  • 処方薬・市販薬の購入費(治療目的のもの)
  • 通院の交通費(公共交通機関が基本)
  • 一定の条件を満たす介護サービス費

一般的に対象外とされるもの:

  • 健康診断・人間ドックの費用(病気が見つかり治療した場合は対象になることも)
  • 予防接種
  • 自分の都合による差額ベッド代
  • 美容目的の施術
  • マイカー通院のガソリン代・駐車場代

「治療のため」か「予防・美容のため」かが、大きな分かれ目になります。


医療費控除は「かかった医療費の一部が税率分だけ戻る」制度です。つまり、医療費の自己負担そのものをゼロにしてくれるわけではありません。
だからこそ、入院や手術で大きな出費が出たときに備えて、民間の医療保険でどこまで補うかを考えておくと安心です。公的な制度で戻る分と、民間で備える分を整理すると、保険のかけすぎ・かけ不足を防ぎやすくなります。保険の一括比較やFPへの無料相談も活用できます。
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📌 あわせて読みたい:医療保険は必要?FPが必要性を考えるポイントを解説


見落としやすい実務上の注意点

注意点1:生計を一にする家族の医療費も合算できる

医療費控除は、申告する人が自己または生計を一にする配偶者・親族のために実際に支払った医療費を合算できます。

家族の中で所得税率が高い人を自由に申告者として選べるわけではありません。原則として、その医療費を実際に支払った人が医療費控除を申告します。誰が支払ったか分からない場合や判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

注意点2:市販薬中心なら「セルフメディケーション税制」も比較を

ドラッグストアで対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)を多く買った年は、セルフメディケーション税制という別の控除のほうが有利な場合があります。

この制度は、対象医薬品の年間購入額が1万2,000円を超えた分(上限8万8,000円)が控除対象になる仕組みです。ただし、通常の医療費控除との併用はできず、どちらか一方を選ぶ必要があります。「病院通いが多い年」と「市販薬中心の年」で、有利なほうが変わる点に注意してください。

※どちらを選ぶか、対象になるかの最終判断は税務署・税理士にご確認ください。

よくある質問

Q1. 医療費が10万円を超えないと使えませんか?
総所得金額等が200万円未満の場合は「総所得金額等の5%」が基準になるため、10万円以下でも対象になることがあります。

Q2. 戻ってくるのは支払った医療費の全額ですか?
いいえ。戻るのは「控除額 × 所得税率」の目安で、医療費そのものが返ってくるわけではありません。

Q3. 共働きですが、どちらで申告すべきですか?
所得税率だけで自由に申告者を選べるわけではありません。原則として、医療費を実際に支払った人の医療費控除になります。詳しくは国税庁「共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合」をご確認ください。

Q4. 確定申告をしないと受けられませんか?
医療費控除は年末調整では処理されないため、原則として確定申告が必要です。

Q5. 通院の交通費も対象ですか?
公共交通機関での通院交通費は対象になるのが一般的です。マイカーのガソリン代や駐車場代は対象外とされています。

まとめ

  • 医療費控除で戻るのは「控除額 × 所得税率」で、医療費の全額ではありません。
  • 控除額は「医療費 − 補てん額 − 10万円または総所得金額等の5%のいずれか少ない額」で計算します(上限200万円)。
  • 同じ医療費でも、適用される所得税率が高いほど戻る金額は大きくなります。
  • 家族分はまとめる、市販薬中心ならセルフメディケーション税制と比較する、がポイントです。
  • 公的な控除で戻る分を踏まえ、民間の医療保険でどこまで備えるか整理しておくと安心です。

医療費の備えは、戻る税金だけでなく「いざというときの自己負担」もセットで考えるのがポイントです。今の保険が自分や家族の状況に合っているか、この機会に見直してみてはいかがでしょうか。保険の一括比較やFPへの無料相談を活用すると、過不足を整理しやすくなります。
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📌 あわせて読みたい:生命保険の見直し方|払いすぎを防ぐための確認ポイント

執筆・確認:お金で損しない教科書 編集部(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)
最終確認:2026年7月21日
参照:国税庁「医療費を支払ったとき」国税庁「医療費控除の対象となる医療費」国税庁「医療費控除に関する手続」

参考情報・専門機関への確認案内

医療費控除やセルフメディケーション税制の内容は2026年度時点のもので、税制改正により変わる可能性があります。最新かつ正確な情報は、次の窓口にご確認ください。

  • お住まいを管轄する税務署
  • 国税庁の確定申告関連ページ
  • 税理士

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の税制利用や保険・金融商品の加入を推奨するものではありません。制度の内容・数値は2026年度時点の目安であり、変更される可能性があります。実際の申告・判断にあたっては、税務署・税理士などの専門家にご確認ください。本記事の内容により生じたいかなる損害についても、運営者は責任を負いかねます。


参考情報
参考情報:
本記事は、金融・保険・税金・不動産・資産運用・家計管理に関する一般的な情報として、金融庁、国税庁、厚生労働省、消費者庁、国土交通省、各自治体・公的機関、各金融機関・公式サイトの情報を参考に作成しています。
制度改正、税制改正、商品内容、金利、手数料、条件などは変更される場合があります。最終的な判断は、必ず公式情報を確認し、必要に応じて税理士、弁護士、ファイナンシャルプランナー、金融機関、不動産会社などの専門家へご相談ください。
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