相続・遺言の基本|何も準備しないと家族が困る理由をFPが解説

税金

相続の準備、何もしていない方へ

「うちは財産が少ないから相続は関係ない」

「遺言書は富裕層が書くもの」

「相続のことは、そのときになって考えればいい」

そう思っている方は少なくありません。

しかし相続トラブルは、財産の多い少ないにかかわらず起こる可能性があります。

FP2級×宅建士の運営者として、相続・遺言の基本と確認ポイントを整理します。

この記事は一般的な情報をもとに作成しています。相続・税制は変更される場合があります。個別の判断は税理士・弁護士・FP等の専門家にご確認ください。


この記事で確認できること

  • 相続トラブルが起きやすい状況とその原因
  • 法定相続人と法定相続分の基本
  • 相続税の基礎控除と対象財産の考え方
  • 遺言書の種類と作り方の確認ポイント
  • 相続手続きの期限と注意事項

相続トラブルが起きやすい状況

相続トラブルは「財産が多い家庭」だけの問題ではありません。

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【相続トラブルが起きやすい主な状況】

状況 理由
遺言書がない 相続人全員で遺産分割協議が必要になる
不動産がある 現金と違って分けにくい
再婚・連れ子がいる 法定相続人の範囲が複雑になる
介護した人とそうでない人がいる 貢献度への不満が生じやすい
疎遠な相続人がいる 連絡が取れない・協議が進まない

財産が少ないからこそ、わずかな金額をめぐってトラブルになるケースがあります。準備があるかどうかで、家族への負担が大きく変わります。


法定相続人と法定相続分の基本

相続の基本として、誰が相続人になるか(法定相続人)どのくらい受け取れるか(法定相続分)を把握しておくことが出発点です。

【法定相続人の範囲と優先順位】

順位 相続人 備考
常に相続人 配偶者 必ず相続人になる
第1順位 子ども(直系卑属) 原則として子が相続する。子が先に亡くなっている場合などは孫が代襲相続することがある
第2順位 父母(直系尊属) 子がいない場合
第3順位 兄弟姉妹 子・父母がいない場合

【法定相続分の割合(目安)】

相続人の構成 配偶者 その他
配偶者+子ども 1/2 1/2を人数で均等に
配偶者+父母 2/3 1/3を人数で均等に
配偶者+兄弟姉妹 3/4 1/4を人数で均等に

法定相続分はあくまで民法上の目安です。遺言書がある場合や相続人全員の合意がある場合は、異なる割合で分けることができます。


相続税の基礎控除と対象財産

相続税がかかるかどうかを確認する

相続税には基礎控除があるため、すべての相続に税金がかかるわけではありません。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

【基礎控除額の目安】

法定相続人の数 基礎控除額の目安
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

債務や葬式費用、非課税財産などを反映した正味の遺産額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。

相続財産に含まれる主なもの

含まれるもの 注意点
預貯金 名義に関わらず実質的な管理者で判断される場合がある
不動産 土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額をもとに評価
有価証券・投資信託 時価で評価
生命保険金 非課税枠あり(500万円×法定相続人の数)
退職金 非課税枠あり(500万円×法定相続人の数)

相続人が受け取る死亡保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額があります。法定相続人が3人の場合、それぞれの非課税限度額は1,500万円です。

👉 生命保険の見直し方|払いすぎを防ぐための確認ポイント


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遺言書の種類と作り方

遺言書の主な種類

種類 特徴 メリット 注意点
自筆証書遺言 自分で手書き 費用がかからない 形式不備で無効になることがある
公正証書遺言 公証人が作成 確実・無効になりにくい 財産額・受取人・内容などに応じた手数料がかかる
秘密証書遺言 内容を秘密にできる プライバシーが守れる 利用頻度が低い

一般的には公正証書遺言が確実性の面で推奨されることが多いです。自筆証書遺言は形式不備で無効になる場合がありますのでご注意ください。

自筆証書遺言を作る場合の必須条件

以下の4つを満たしていないと無効になる場合があります。

  • 本文・日付・氏名を自筆で書く(財産目録はパソコン等で作成できるが、各ページへの署名・押印が必要)
  • 日付を記入する
  • 氏名を自筆で署名する
  • 押印する

2020年から法務局における遺言書の保管制度が始まりました。詳細は法務局にご確認ください。


相続手続きの期限

相続が発生したとき、期限のある手続きがあります。見落とすと取り返しのつかない事態になることがあります。

【相続手続きの主な期限】

手続き 期限 注意点
相続放棄・限定承認 相続開始を知った日から3か月 過ぎると単純承認になる
準確定申告 死亡後4か月以内 亡くなった方の確定申告
相続税の申告・納付 相続開始を知った日から10か月 延納・物納制度あり
相続登記 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内 遺産分割で取得した場合は分割の日から3年以内
遺留分侵害請求 相続開始と遺留分侵害を知った時から1年 相続開始から10年経過した場合も請求できなくなる

相続放棄の3か月は特に短いため注意が必要です。亡くなった方に多額の借金がある場合、3か月以内に手続きをしないと借金まで引き継ぐことになります。

相続登記は2024年4月から義務化されました。怠ると10万円以下の過料が課される場合があります。

👉 不動産一括査定の使い方|宅建士が確認ポイントと注意点を解説


遺留分とは

遺言書があっても、法定相続人には遺留分という最低限の相続権が保障されています。

【遺留分全体の割合と対象者】

相続人の構成 遺留分全体 各相続人の割合
直系尊属のみ 遺産の1/3 法定相続分に応じて配分
それ以外(兄弟姉妹を除く) 遺産の1/2 法定相続分に応じて配分
兄弟姉妹 遺留分なし 対象外

遺言書で「全財産を特定の人に」と書いても、他の相続人から遺留分を請求される可能性があります。遺言書作成時は遺留分を考慮した内容にすることが重要です。


生前贈与と相続の関係

相続対策として生前贈与を活用する方法があります。ただし2024年以降のルール変更に注意が必要です。

  • 暦年贈与の加算期間には移行措置があり、2026年中に発生した相続は原則として死亡前3年以内が対象。2031年以後は死亡前7年以内が対象
  • 相続時精算課税制度は2024年から年110万円の基礎控除が追加された
  • 教育資金の一括贈与の非課税特例は2026年3月31日で終了。住宅取得等資金の特例は適用要件と期限の確認が必要

👉  生前贈与を考えている方へ|贈与税の基本と注意点をFPが解説


注意点

  • 相続税・相続手続きの条件・期限は変更される場合があります。最新情報は国税庁・法務局等でご確認ください
  • 遺言書の形式・有効性については専門家(弁護士・司法書士・公証人)にご確認ください
  • 相続放棄は一度行うと原則取り消せません。慎重に判断してください
  • 本記事は一般的な参考情報です。個別の相続・遺言の判断は税理士・弁護士等の専門家にご相談ください

よくある質問

Q1. 財産が少なくても遺言書は必要ですか? 財産の多少に関わらず、遺言書があることで相続人の負担を減らせる場合があります。特に不動産がある・再婚している・子どもが複数いるなどの状況では準備を検討することをおすすめします。

Q2. 相続税がかかるかどうか、どうやって確認しますか? まず法定相続人の数を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算します。債務や葬式費用、非課税財産などを反映した正味の遺産額と比較します。詳細は税理士にご確認ください。

Q3. 相続放棄をするとどうなりますか? プラスの財産もマイナスの財産(借金等)も含めて一切相続しないことになります。期限は相続開始を知った日から3か月です。一度放棄すると原則取り消せませんので慎重に判断してください。

Q4. 遺言書がない場合、財産はどうなりますか? 法定相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決める必要があります。相続人が多い・疎遠な相続人がいる場合、協議が長引くことがあります。

Q5. 相続登記とは何ですか? 不動産を相続した場合に名義を変更する手続きです。2024年4月から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。遺産分割で取得した場合は分割の日から3年以内です。詳細は法務局にご確認ください。


まとめ

  • 相続トラブルは財産の多少に関わらず起こる可能性がある
  • まず法定相続人の範囲と法定相続分を把握することが出発点
  • 相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 遺言書は自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がある
  • 相続放棄は3か月・相続税申告は10か月・相続登記は不動産の相続取得を知った日などから3年以内の期限がある
  • 遺言書があっても遺留分の請求を受ける可能性があるため考慮が必要
  • 生前贈与と組み合わせた相続対策は2024年以降のルール変更に注意

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参考情報
参考情報:
本記事は、金融・保険・税金・不動産・資産運用・家計管理に関する一般的な情報として、金融庁、国税庁、厚生労働省、消費者庁、国土交通省、各自治体・公的機関、各金融機関・公式サイトの情報を参考に作成しています。
制度改正、税制改正、商品内容、金利、手数料、条件などは変更される場合があります。最終的な判断は、必ず公式情報を確認し、必要に応じて税理士、弁護士、ファイナンシャルプランナー、金融機関、不動産会社などの専門家へご相談ください。
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